補聴器あるある話

補聴器あるある話

こんにちは、メガネの金剛補聴器担当 大橋です。

前回、試聴について少し掘り下げてみましたが、

今回はよくある補聴器についての「認識」について書いてみようと思います。

補聴器あるあるみたいなものだと思って見てください。

〇補聴器って高い

その通りだと思います。

「JapanTrak2018」という補聴器の実態調査によると

補聴器1台の平均購入価格は15万円と出ています。

この価格帯の方が約40%、それ以上の価格帯が約20%、

10万円以下で購入が約40%となっています。

あくまで1台平均なので、片耳or両耳で値段はほぼ倍変わります。

保険が利く商品でもないので、ここは今後の国の対応に期待したいところです。

去年は認定補聴器技能者の調整料というのが一部で認可されましたので、変化が広がることを望みます。

「おじいちゃん、おばあちゃんが高い補聴器を買ったけど全然使っていない」

・・・なんてこともよく耳にします。

こんな状況になってしまうともったいないどころではないので

試聴と調整を繰り返し、ちゃんと使えるようにサポートしていきます。

 

○補聴器は片耳だけでいい?

理想は両耳に着けることです。

両方の耳に着けることで様々なメリットを得られることが多いです。

例えばメガネもレンズが片眼分しかないと見えづらいです。

極端な話、足は2本ないとちゃんと歩けなくなってしまいます。

人間元から2つ付いているものは、

2ついっしょに使ってあげることで効果を発揮しやすくなります。

補聴器の場合、聴力によってはオススメ出来ないこともありますので

それは耳鼻科やお店にて確認させて頂きます。

○補聴器は着けたらすぐ聞こえる

こう思われている方は正直多いですが、そうならない方が大多数です。

何度か「聞こえと脳のトレーニング」を紹介していますが、

十分な音量に慣れていない脳は今まで聞こえていなかった音を聞くと負担になってしまいます。

ある程度効果のある音量でうるさくないレベルで試聴し、

脳を馴染ませていかないと聞こえは改善しにくいことが多いです。

 

○補聴器を着けたら聞きたい声だけ聞こえやすくなる?

これが最も多い補聴器あるあるではないでしょうか。

聞きたい声だけ聞こえやすくなると思われている方は多いです。

補聴器を着けて、または人から聞いた感想として多いのは

「雑音がよく聞こえる」「雑音ばかり聞こえて肝心の声が聞こえない」

勘違いしちゃいそうですが、補聴器は自ら雑音を出すことはありません。

世の中には当たり前のように騒音があります。

そういった騒音も補聴器は取り込んで、増幅して出力してしまいます。

生活する上で当たり前のように発生する騒音、突発音。

食器が当たったり、水道を流したり、扉を開け閉めしたり、

本や新聞をめくったり、歩いている足音だったり、エアコンの稼働音だったり・・・

こういった音が聞こえてしまうと雑音と感じてしまいます。

本当はそういった雑音は当たり前のように聞こえているはずですが、

補聴器を着けるとなぜか雑音ばかり気になってしまいます。

前述しましたが、これを克服する為にも脳を変えていく必要があります。

 

耳に入ってきた音を電気信号に変換し、脳に伝える経路に「視床」という部分があります。

蝸牛によって変換された電気信号は、視床を通り聴覚野に伝えられます。

これで音が聞こえるわけですが、視床によって「音の選別」が行われています。

自分に向けて話しかけられた声は「重要な音」、

踏み切りの遮断機の音や救急車のサイレンは「危険な音」、

これらの音は必要な音として聴覚野に送られます。

自分に向けて話しかけられていない声や、上記に記した雑音と言える音は「不要な音」として

自ら意識を向けない限り、捨てられて聴覚野には送られません。

つまり聞こえていないのと同じわけです。

 

本当は聞こえているのに聞こえていない、人間の脳はそんなすごい能力を持っているわけですが、

聞こえにくくなり、蝸牛に届く音が少なくなってしまったり、

蝸牛から聴覚野に送られる電気信号が少なくなってしまうと、視床の選別能力が衰えてしまいます。

衰えた状態の視床では音の選別を適切に行うことが出来ません。

そうすると雑音も「重要な音」や「危険な音」として処理されてしまい、

聴覚野に送られてしまうので、雑音ばかりが気になってしまうのです。

 

もちろん補聴器の基本性能で雑音成分を抑えるということはしていますが、

雑音成分を全て消すことが出来ているわけではありませんので聞こえてしまいます。

なので「聞こえと脳のトレーニング」で

視床がしっかりと音の選別が出来る状態に戻してあげることが重要になります。

そうは言っても残念ながら若返るわけではありませんので、

明瞭度や聴力レベルなどから最適な聞こえを模索していくわけです。

 

大事なのは「ご自身の聞こえ」を理解すること。

補聴器を着けると元通りの聞こえになるわけではないので、

「補聴器を着ける目的」を明確にしておくことも重要です。

聞こえの困りごとに対して補聴器でどれだけ改善が出来るのか、

それらを試聴している際にいっしょに確認していきます。

 

○補聴器を着けていても早口の人やモゴモゴしゃべる人の声が聞こえない

おそらくこれは補聴器を着けている着けていないに関わらず

聞こえにくいことが多いのではないかと思います。

特に滑舌がよくなかったりすると、さらに聞こえづらくなります。

聴力の衰えと共に、理解できる言葉の数というのも減っていってしまいます。

以前と同じスピードで話された声を聞いたとしても

自身で処理できるスピードが下がってしまっているので

早口の人だと余計に聞こえにくくなってしまいます。

補聴器を着けても早口の人の声がゆっくり聞こえるわけではないので

話す人に「ゆっくり」「丁寧に」「話してもらう」ように伝えることも大事です。

 

 

以上、よく耳にする補聴器あるあるでした。

その他、色々な疑問質問などぜひお店にてお尋ねください。