補聴器でうるさい音を抑え、聞きたい音を聞くために

補聴器でうるさい音を抑え、聞きたい音を聞くために

こんにちは、メガネの金剛補聴器担当 大橋です。

今回も引き続き補聴器の効果を最大限出す為の機能について書いていきます。

前回、チャンネル数について書いていきましたが、

今回は補聴器の調整器について書いていこうと思います。

 


調整器とは?

基本的に補聴器は音を大きくする為の機器です。

音を大きくするだけではうまく聞こえない可能性があるので、圧縮という機能の話や

周波数ごとに分割して処理をする事などをお伝えしてきました。

その他、実際に音の調整・処理というのはどんなことが行われているのか。

補聴器自体が兼ね備えている機能といったものをご紹介してみます。

〇騒音抑制

言葉の通り、騒音を抑える機能です。

補聴器は静かな場所における1対1の会話では効果を感じやすいですが、

騒がしい場所、周りに様々な音が混在する環境では、

会話を聞き取るのが難しくなってしまいます。

メーカーごとに違いはありますが、基本的な性能としては

「音の高さ」「大きさの変化」「一定時間内の大きさの分布」などから

騒音と会話音の性質の違いを認識し、音声は大きくし、騒音は自動的に抑える機能です。

人間の話し声を解析すると特定の波形「スピーチシグナル」が検出されます。

デジタル補聴器の場合はチャンネルごとの調整が可能なので、

スピーチシグナルが検出されるチャンネルでは増幅を行い、

スピーチシグナルが検出されないチャンネルは増幅を抑える、

そんな機能が働いています。

 

ひとつ誤解しやすいのですが、スピーチシグナルだけを拾って増幅することは出来ません。

音声だけを強調して、騒音をすべてカット出来るようになれば

聞こえの性能は飛躍的に向上するかもしれません。

しかしながら環境騒音には必要な音も含まれています。

ガス漏れ警報機の音や背後から近付いてくる自動車の音、

やかんが沸騰する音や踏切遮断機の音など

身の回りの危険を伝えてくれる音もあります。

実際、メーカー曰く技術的には音声だけを聞こえる補聴器を作ることは可能らしいのですが、

補聴器をつけたことで必要な音が聞こえなくなり危険に晒されるようなことになってはいけないので、

騒音も聞こえる補聴器を作っているそうです。

かといって不快な音ばかりでは補聴器をつけるのが嫌になってしまいますので

適度に騒音を聞く為に抑制機能が働いてくれるわけです。

 

〇衝撃音抑制

不快に感じる衝撃音や突発的な騒音を抑える機能です。

食器を洗う「カチャカチャ」という音や、パソコンのキーボードを叩く音、

紙をめくる時の「シャカシャカ」という音や、スリッパの「ペタンペタン」という音など

突発的に生じる不快な音を抑えてくれます。

その際、会話音や必要とされる環境音には、ほとんど影響を与えないという特徴もあります。

 

〇ハウリング抑制

補聴器をつけた際、耳の穴をしっかりと密閉しないと補聴器からピーという音が出ます。

これはレシーバーから出た音をマイクが拾い、それを増幅してレシーバーから出す。

それをまたマイクが拾って、増幅して出す。

ということを繰り返すことによって発生します。

これをハウリングと呼びます。

皆様もカラオケのマイクとスピーカーでハウリングを聞いたことがあるのではないでしょうか。

ピーピー鳴っているとうるさくて補聴器をつけていられません。

これもまたメーカーごとにハウリングへのアプローチは違いますが、

補聴器がハウリング音を検出すると、ハウリングしている周波数帯を増幅しない方法や、

ハウリング音と逆位相の音を合わせて打ち消しあう方法などでハウリングを抑えます。

 

〇指向性

調整器とは少し離れるかもしれませんが、聞こえを改善するのに重要な機能です。

もともとは正面の会話音声を聞き取りやすくする機能です。

正面の会話音声は増幅し、横や後ろからの音は抑制することによって

周りが騒がしくても、正面の音声が聞き取りやすくなります。

最近の補聴器では正面だけではなく、360度の範囲で周囲を判断することが出来、

横や後ろからの音声も強調することが出来るようになっています。

補聴器には音を拾うためのマイクが1つのものと2つのものがあります。

指向性はマイクが2つあることで実現可能な機能となっていて、

小さな耳あな型補聴器では指向性機能を搭載できないモデルもあります。

 

騒音抑制でも書きましたが、補聴器は静かな場所における1対1の会話では効果を感じやすいです。

補聴器には周りの様々な音が入ってきます。

聞こえを改善させる為に入力音を増幅して出力しないといけないわけですが、

周りの音も大きくなって邪魔されて聞こえづらいことがあります。

補聴器は音声だけを大きくするものではありませんので、

なるべく前方からくる音は聞こえやすくし、周りの音は少し下げる。

人は普段正面を向いて話すことが多いので、その習性も利用している機能と言えます。

さらに高性能機種になると音源の方向まで特定し、

正面だけではなく周りからの音も強調することが出来るようになっています。

この指向性の考え方も補聴器メーカー各社によって違いがあります。

少し余談ですが、補聴器で聞こえを改善することは指向性がなくても出来ますし、

補聴器を片耳だけにつけて改善することも出来ます。

聞こえやすくした補聴器で音声以外の音が大きくなってしまったり、

周りの雑音で聞こえが邪魔されてしまうときに

指向性や補聴器を両耳で使うことが活きてきます。

補聴器をつける前は聞こえにくくて困ることが出てきます。

補聴器をつけると音声以外が聞こえすぎて困ることや、周りの騒音が邪魔で困ることが出てきます。

こういった場合は補聴器を両耳につける、

値段はしてしまいますが、より高性能の補聴器を選んでみる。

こういったことで解決できることもあります。

 

ぜひお店でいろいろな補聴器を試してみて、自分自身にぴったりの補聴器を探してみてください。